近年、AIやディープラーニングの技術が進展し、私たちの日常生活に深く浸透しています。ChatGPTをはじめとしたAIソフトウェア、スマートフォンの音声認識、自動運転車、お掃除ロボットなど、さまざまなサービスがAIによって実現されています。AIとは、人間のような判断や学習が可能なソフトウェアやシステムであり、それを開発するのがAIエンジニアの役割です。
AI技術があらゆる分野に浸透していく中、AIエンジニアや機械学習エンジニアの需要は今後さらに高まると期待されています。しかし現在、自社開発企業・SIerに勤務しているエンジニア採用担当者への調査によると、約6割以上が採用目標に届かなかったと回答しており、現在、エンジニア自体の採用が難しい状況となっています。
AIエンジニアの主な仕事内容や種類、必要なスキルや資格などを理解しておくことは、高い技術を持った優秀なAIエンジニアを求める採用担当者にとって重要といえるでしょう。
詳しくはこちら!
【自社開発企業・SIer勤務のITエンジニア採用担当者に聞く採用の実態】6割以上の方が採用目標未達
【目次】
AIエンジニアとは
AIエンジニアとは、人工知能(AI)の研究・開発を専門とする職業であり、現代のテクノロジー分野で注目される職種のひとつです。AIエンジニアとは、エンジニアの中でも何に特化したどのような専門職でしょうか。その仕事内容は見えにくく、イメージが難しい職種でもあります。
ここでは、AIエンジニアの役割やその種類、ITエンジニアとの違いについてわかりやすく徹底説明します。
AIエンジニアについて
AIエンジニアは、人工知能を利用したシステム開発を行う専門職です。大量のデータを解析し、高度な学習アルゴリズムを設計するスキルが求められます。AIがどのように学習し、判断するのかを深く理解した上で、適切なモデルを選定する能力も非常に重要です。そのため、数学や統計学などの基礎的かつ重要な知識が欠かせません。
また、AIエンジニアには技術的なスキルだけでなく、必要な知識として業務プロセス設計の理解や、AIシステムを企業の実務に導入・運用するための管理能力も求められます。これにより、企業がAIを活用した効率的な運用を実現できるようになるのです。さらに、AIシステムがビジネス目標を達成できるよう、設計から実装、運用に至るまでの全プロセスをサポートする役割も担っています。
ITエンジニアやSEとの違い
AIエンジニアは、特にデータ分析や機械学習に特化した専門知識が求められます。ITエンジニアは、情報技術を使って様々なシステムを開発・管理するためシステムの構築や管理が中心となり、プログラミングスキルに重きを置くことがあります。一方で、SE(システムエンジニア)は、クライアントの要望を汲みながらシステムの設計や開発を主導する役割を担います。
AIエンジニアは、データを処理し、AIモデルを開発するための複雑な数学的理解が必要です。また、業務の効率化や新しいソリューションを生み出すために、AIの特性を最大限に活用する能力が求められます。
AIエンジニアの種類
AIエンジニアには多様な職種があり、それぞれ異なる役割と専門性を持っています。これらの職種が担う役割や求められるスキルは異なりますが、共通してデータに対する深い理解力と分析能力が必要とされます。AI技術の進化に伴い、このようなAIエンジニア関連の職種は今後益々需要が高まり、多くの分野で重要な存在となるでしょう。
機械学習エンジニア
機械学習エンジニアは、アルゴリズムやモデルを使用してデータを解析し、機械が学習できるように設計する専門家です。主にPythonやRなどのプログラミング言語を用いて、データ整理や前処理を行います。その後、モデルを選定し、トレーニングとテストを通じて精度を向上させる作業が含まれます。プロジェクトによっては、深層学習や強化学習などのより高度な手法を使うこともあります。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、大量のデータを分析し、そこから価値のある情報を引き出す役割を担います。ビジネス上の課題を把握した上で、分析手法やモデルを選定し、予測や傾向を示すことが求められます。統計学や機械学習に関する深い知識だけでなく、ビジネスセンスやコミュニケーション能力も重要です。データサイエンティストは、経営層や他の部門と連携し、データに基づく意思決定を支援します。
データエンジニア
データエンジニアとは、データの収集、保存、加工を担当する重要な役割を持つ職種です。この職種では、大規模なデータベースの設計やETL(抽出、変換、ロード)プロセスの構築が主要な業務となります。データパイプラインの効率的な設計やリアルタイムデータ処理の実現、さらにストレージシステムの最適化に注力します。また、適切かつ正確なデータが利用可能となる環境を整えることで、他のAI関連職種がその実力を最大限に発揮できるよう支援する役割を担っています。
データアナリスト
データアナリストとは、収集した数多くのデータを統計や分析手法を活用して解釈し、ビジネスや運営上の課題解決に貢献する職種です。データの収集、分析、可視化を通じて価値あるビジネスインサイトを提供し、必要に応じてデータサイエンティストやコンサルタントと連携しながら業務を進めることもあります。また、ExcelやBIツールを活用してデータを操作し、視覚的にわかりやすいグラフやレポートを作成するスキルが求められます。さらに、単なる定量的な分析にとどまらず、データのトレンドやパターンを発見し、それに基づく経営課題の提案や解決策を示す役割も重要です。そのため、データを簡潔かつ効果的に表現するスキルが欠かせません。
データアーキテクト
データアーキテクトは、現代のビジネス環境でますます重要視される職種であり、データシステム全体の設計や構築を専門とする仕事です。企業のビジネスニーズに応じた効率的なデータベース構造を設計し、スムーズなデータフローを確立する役割を担います。この職種では、新しい技術やフレームワークを取り入れながら、データインフラストラクチャを常に最新の状態に保つことが求められます。また、データガバナンスやセキュリティを確保しつつ、信頼性の高いデータの収集と管理が行える環境を提供することが重要な責務です。そのため、データアーキテクトの仕事は、技術的な知識だけでなく、ビジネスの目標や方針を深く理解し、最適なシステムを構築する能力も必要とされます。
AIエンジニアの仕事内容とは
AIエンジニアの仕事は多岐にわたり、主にデータ分析、機械学習モデルの設計・構築、そしてその実運用を含みます。近年では、深層学習や自然言語処理などの先端技術が注目される中、これらを取り入れたモデルの構築や活用が重要な仕事の一部となっています。このような技術革新により、AIエンジニアの活躍の場はますます広がっており、それに伴い需要も高まっています。
AIエンジニアの仕事内容①AI開発と運用
システム開発の過程では、データ収集を行い、それを基に必要なデータを整理した後、課題に適したアルゴリズムを選定し、効果的なモデルを構築します。開発段階では、精度の高いAIシステムを実現するために、データの質やボリュームにも十分な考慮が求められます。一方、運用フェーズでは、構築されたシステムが実際の環境でどのように機能しているかを継続的に監視し、状況に応じてシステムの改善やアップデートを行います。こうした取り組みにより、AIは業務プロセスを効率化し、生産性の向上に貢献します。また、運用と開発を繰り返すことで、システムの品質と有用性がさらに高まることが期待されます。
AIエンジニアの仕事内容②学習モデルの構築
学習モデルの構築は、AIエンジニアにとって重要な役割のひとつです。このプロセスでは、適切なスキルを活用し、データを基にトレーニングを行い、最適なモデルを見つけ出すためにしっかりとしたデータの前処理が欠かせません。その際、教師あり学習や教師なし学習などの手法を選び出し、データの特性に応じた最適なアルゴリズムを使用することが求められます。また、モデルが作成された後は、その精度を詳細に確認するための評価プロセスが必要です。さらに、必要に応じて継続的にモデルのチューニングを行い、より効率的な結果が得られるよう最適化することも、AIエンジニアが持つべきスキルのひとつです。
AIエンジニアの仕事内容③データ分析
データ分析では、大量のデータを収集し、そこから有用な情報を引き出すことが求められ、統計的手法を活用するスキルは不可欠とされます。統計を基盤とした分析を行うことで、データの精度や信頼性を高めるとともに、新たなビジネスインサイトや問題解決のための具体的な提案が可能になります。また、可視化ツールを効果的に使い、データのトレンドやパターンを明確に把握することで、将来の予測や戦略の立案にも活用できるため、ビジネス全体の成果に直結する重要なプロセスといえます。
応用分野例:ロボットや自動運転
AIエンジニアが携わる応用分野は多岐にわたり、例えばロボット技術や自動運転分野などが注目されています。ロボット分野では、人間の動作を学習し、複雑で多岐にわたる作業を効率的に実行できるアルゴリズムが求められています。一方、自動運転分野では、環境認識や高精度なナビゲーション技術が不可欠であり、安全性の向上と利便性の追求が進められています。これらの技術の進化は、社会全体の革新を促進し、便利で快適な生活環境の構築に大きく貢献することが期待されています。
AIエンジニアに必要な資格やスキル
優秀なAIエンジニアは、業務で求められるスキルをしっかりと身につけています。また、必要な資格の取得も合わせて考慮することが望ましく、これにより専門性が証明されるだけでなく、エンジニアのキャリアアップの機会も広がります。
機械学習の知識など必要なスキル
AIエンジニアとして活躍するためには、機械学習に関する深い知識が求められます。具体的には、さまざまな機械学習アルゴリズムやその適用方法を理解し、それを実践できる能力が極めて重要です。業界内で信頼されるエンジニアになるためには、知識だけでなく実践的なスキルによって強い専門性を示すことが必要です。また、データ前処理技術や特徴量エンジニアリングのスキルも欠かせません。AIモデルの性能向上には、データの質が非常に重要な要素であり、正確で効率的なデータ準備が結果に強い影響を与えます。また、統計学、微分積分、線形代数など数学的な知識も必要となります。
さらに、プログラミングスキルもAI業界では不可欠とされています。特にPythonやRのような機械学習に適した言語のスキルが優遇されますが、プロジェクトによってはJavaやC++の知識が求められる場合もあります。これに加え、これらの言語用のライブラリやフレームワーク(例:TensorFlowやscikit-learn)を活用できる能力は、効率的な開発を進める上で大きな強みとなります。
取得すべき資格(国家資格・ベンダー資格など)
AIエンジニアとしてのキャリアを築く上では、関連資格の取得がおすすめです。国家資格として代表的なものに「情報処理技術者試験」やAI関連の資格などがあり、これらを取得することで一定の知識と技術力を証明できます。特に、AI分野においては一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する「g検定(ジェネラリスト検定)」や「e資格」などの資格が注目されています。「g検定」はAI・ディープラーニングの活⽤リテラシーの習得を証明する資格で、AI技術を活用するための知識を広く学べる点が特徴です。一方、「e資格」はディープラーニングを中心とした技術スキルを重視しており、AI技術者として実践的な能力を示す上で有効です。
Microsoft、Googleといった主要IT企業が提供するAIのベンダー資格も、実務的なスキルを証明するだけでなく、業界内での信頼性を高める助けとなります。
優秀なAIエンジニアの3つの特徴
需要が増加傾向であるAIエンジニアですが、現場で活躍するには、論理的思考力や自主的な技術習得など不可欠な要素があります。ここでは、優秀なAIエンジニアの特徴を3つ紹介します。
論理的思考能力がある人
AIエンジニアにおいて、論理的思考能力は非常に重要なスキルのひとつです。複雑な問題を分析し、適切な解決策を考える際には、情報を整理し、論理に基づいた推論を行うことが求められます。ディープラーニングや機械学習のアルゴリズムを理解するには、これらの論理的なアプローチが不可欠です。
また、AIシステムの開発は、さまざまな要素を組み合わせることで成り立っています。各要素がどのように相互作用するかを理解するために、論理的に思考する能力が必要です。これにより、プロジェクトの進行において多角的な視点を持ち、洞察を生むことが可能になります。
好奇心旺盛で自分から技術の習得ができる人
AIの分野は急速に進化しているため、好奇心旺盛な姿勢が求められます。新しい技術やトレンドに対する興味を持ち、最新情報を積極的に学ぶ姿勢が重要です。技術力の高いAIエンジニアは、自己学習を通じてスキルを磨くことが欠かしません。オンラインコースやワークショップ、様々なリソースを活用して習得した実践的な技術などの、独自の学びから得られる知識は、プロフェッショナルとしての成長に繋がります。
持続的な学びに取り組める人
AIエンジニアとして成功するためには、持続的な学びを重ねることが求められます。技術の進化が早く、新しいアルゴリズムや手法が次々と登場するため、常に学び続ける姿勢が必要です。新しい知識を得ることで、プロジェクトに対する視野を広げ、有効なソリューションを提供できるようになります。
さらに、持続的な学びには、柔軟な考え方も伴います。失敗や挫折から学ぶことができ、次に活かす姿勢を持つ人は、自らの成長を実感できながらキャリアを積むことが可能です。このような姿勢を持つことが、レベルの高いAIエンジニアになることに繋がります。
AIエンジニアのやりがい
AIエンジニアの職業には、多くのやりがいと魅力があります。急成長中のAI分野では、現在だけでなく将来においても高い需要が見込まれています。スキルを存分に活かして自らの成長を追求するだけでなく、社会の発展に寄与する重要な役割も果たせる点で、多面的にやりがいを感じられる要素があるのも特長です。
時代の最先端テクノロジーに携われる
AIエンジニアの仕事の魅力のひとつは、最先端のテクノロジーに触れる機会が豊富である点です。AIや機械学習、ディープラーニングなどの技術は、現在の技術革新の中心に位置しており、これらを活用して新たなソリューションを創造することができます。常に変化する技術のトレンドに対応しながら、自らのスキルを磨くことができる環境にいることは、プロフェッショナルとしての成長を実感する瞬間となるでしょう。
仕事の成果が見えやすく、達成感を得られる
AIエンジニアの仕事には、自らの成果が直に評価される場面が多いという特長があります。開発したAIモデルが実際に動作し、期待以上のパフォーマンスを発揮した際には、達成感が得られるものです。プロジェクトの進行状況が具体的に分かりやすいため、目標が達成されたことを実感しやすいのです。
また、これらの結果が企業や社会に対してポジティブな影響を与えると、責任感とやりがいが更に増します。自分が関わったプロジェクトの成果が、受益者にとって重要な変化をもたらすことは、非常に価値のある経験です。こうした経験が、将来的なキャリアの方向性においても大きなモチベーションとなることが多いでしょう。
AIエンジニアのキャリアパス
AIエンジニアのキャリアパスは多岐にわたります。初めに、基本的なプログラミングスキルやデータサイエンスの知識を身につけることが重要です。これにより、機械学習やAIの原理を理解しやすくなり、実際のプロジェクトでの応用力が高まります。その後は、特定の分野に特化して技術スペシャリストを目指す道や、プロジェクトマネージャーとしてチームをリードする道があります。さらには、データサイエンティストやデータエンジニアなど、関連職種への転向も可能です。
技術スペシャリストへの道
AIエンジニアとしてのキャリアのひとつは、技術スペシャリストとしての進路です。この道を選ぶと、特定の技術や領域に特化し、その分野の深い知識と技術を磨くことになります。例えば、機械学習や自然言語処理、コンピュータビジョンなど、特定のフィールドでの専門性を高めることが求められます。
技術に対する深い理解を持つことで、より高度なプロジェクトに参画する機会も増え、その結果、業界内での評価も高まります。また、最新技術に追いつくために継続的な学びが必要ですが、自身の専門性を磨くことへの満足感が得られる道でもあります。最終的には、独自の技術的なリーダーシップを発揮できるポジションに進むことが可能です。
プロジェクトマネージャーへの道
AIエンジニアのキャリアパスのもうひとつの選択肢は、プロジェクトマネージャーになる道です。技術的なバックグラウンドを持つAIエンジニアは、プロジェクト管理に移行する際に強みを発揮します。プロジェクト全体の設計や調整を行い、メンバーとのコミュニケーションを円滑に進める役割が求められます。
プロジェクトの進行管理やリスク管理、予算の調整など多岐にわたる業務を遂行しつつ、技術的課題に対しても理解を深めておくことが重要です。これにより、プロジェクトがスムーズに進むだけでなく、チーム全体のモチベーションを高める効果も期待できます。リーダーシップやコミュニケーション能力を養うことで、より高いマネジメント職に進むことも可能になります。
まとめ:AIエンジニアの魅力
AIエンジニアは、急速に発展するテクノロジーの最前線で活躍できる魅力的な職業です。医療分野での診断支援、製造業における効率化、交通システムの最適化など、多岐にわたる業界において、非常に重要な役割を担っています。特に今後、AI技術の進化とともに、より多くの分野で重要な役割を果たす機会が期待されています。
エンジニアの人材不足の昨今、優秀なAIエンジニアの需要は高まっており、採用担当者は応募者のスキルや特性を見極めて採用する必要があります。向いている人の特徴や資格の有無といった基準を参考に、自社に必要なスキルを持ったAIエンジニアを獲得していきましょう。
ラクスパートナーズでは、自社で採用・育成した優秀な機械学習エンジニアを派遣しています。貴社の悩みに寄り添い、最適な人員確保のご提案・ご紹介をいたします。
まずはぜひ、気軽にお問い合わせください。
ITエンジニア採用担当者に関しての調査レポート